桜の木の下で・・・

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食堂に入って空いてる席がないか探す。 一人だったら適当に座るが、二人だから並んで座るのがふつう。だからどちらかが買ってきて、どちらかが席を取っておくというのが定石。 ただ今回違うのは、相方が弁当ということで、席を取っておいてもらえるということだ。だから二つ空いてたらこっちの勝ちのようなモノなのだが・・・ 「・・・空いてないな」 パッと見ただけではあるが、ちょうど二つ空いているというところはなかなか見あたらない。 「なにやってるの?早くパン買ってきなよ」 「は?なんでまた」 「飯、食べるんでしょ?」 「そりゃそうだが・・・」 なぜパン限定? 「・・・ああ、そうか。まだ言ってなかったね」 いやだからなにを。 「瀬戸口が大量に弁当作ってきたから、二人だけで食うのもなんだから、って俺を誘ってきたんだよ」 なるほどなるほど。 「そうか。で、なんで俺も?」 「ああ。あいつ以前はあんなだったけど、今は完全にノロケてるだろう?それでたまたま話した時があったんだけど、その時に神城も誘っといてくれって言われたんだ」 「ああ、なるほどね」 あのバカップルぶりをみれば、弁当を作りすぎるなんてこともありえるだろう。しかしあまりにも多すぎるから、白羽の矢が立ったのが俺と真崎だったというわけか。 「わかった。んじゃ、パン買ってくるからちょっと待っててくれ」 そう言って、俺は何十人という人垣ができているパン売場に向かっていった。
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