ポートレート

6/6
前へ
/18ページ
次へ
夢中になり唇をすり合わせ合い、どれだけの時間が経ったのだろう。 達彦は、廊下に響く足音を聞いた。 『慎吉!ヤバいぞ! すぐに服を着よう!』 あわてて服を着て、カッターシャツのボタンを締め終えたと同時に、理科準備室のドアが開いた。 『遅くまで頑張ってるな。写真は焼けたかい?』 顧問の石田先生だ。 『はい、もう乾燥が終わりますので、明日パネル貼りしようと思います。』 石田先生は洗濯バサミで吊り下げられた写真を見て、満足そうにうなづいた。 『今日はもう閉めるから、家に帰りなさい。 明日は、先生来れないんで職員室で鍵借りて、ここ使って良いからね。』 『はい!』 達彦と慎吉の返事がハモった。 達彦は慎吉を見つめ 『明日も手伝ってくれるのか?』 『もちろん!offcourse!先輩。』 『2人とも気を付けて帰りなさい』 達彦と慎吉は暮れなずむ街をそれぞれの帰路についた。 煮えたぎる想いを胸に…。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加