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『先輩、ポートレート撮りたいっすか?』
慎吉の愛くるしい目は、相変わらずキラキラしていた。
『うん、人間を撮るって深くて難しいよね…』
『先輩、僕を撮って下さい。』
『…!』
思いがけない慎吉の言葉に、達彦はうろたえた。
愛用機のミノルタSRT-101を手の中で遊ばせながら、顔を赤らめ、耳まで赤らめながらうつむいた。
『モデルになってくれるんだね。』
『はい!喜んで!』
慎吉は、ご主人に餌を与えられた子犬のように喜んだ。
達彦は嬉しさと照れくささの50:50の葛藤の中、慎吉に本性を見破られないように必死であった。
『じゃあ、軽く撮って良い?』
達彦はカメラバッグから、フジネオパン400PUREST(フィルム名)を取り出して、愛用機のSRT-101に手際良く入れた。
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