ポートレート

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『先輩…ズルいっす… ボクも、先輩の体… 触りたい…』 『慎吉!中に入ろう。』 達彦は慎吉の脱ぎ捨てたシャツを持つと、理科準備室へのドアをけたたましく開き、中へ消えて行った。 慎吉は小走りに達彦の後を追った。 日はすっかり西の空に沈み、窓の無い理科準備室は真っ暗闇。 電気のスイッチを入れると、切れかかった蛍光灯がチラチラ点滅して、ブーンと低い音をうならしていた。 達彦は自分のカッターシャツのボタンを外そうとすると、慎吉はその手を振り払い 『ボクにやらせて下さい』 と、ボタンを外し始めた。 高鳴る鼓動。 喉が乾き切ってイガイガする。 バンザイをしてTシャツを脱がされると、達彦と慎吉は同じ格好になった。 変な汗が腋の下ににじむ。 汗臭くないだろうか? 慎吉は 『先輩、お返しだよ。』 と言って、達彦の胸に唇を付けて、更に小動物のように舌を這わせた。 脳天をつんざくように、体中に電流が走る。 達彦はただ、慎吉の頭をつかみ、撫で回すのみであった。 ふと顔を上げる慎吉。 達彦はその唇を心から愛おしく思い、自分の唇と重ね合わせた。
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