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───とある魔王の話をしよう
…その魔王は、女の身でありながら幾多の戦場を駆け抜け、幾多の魂を奪い去ってきた。
…だが、その魔王は魔王らしい振る舞いを一切しなかった。
弱きを助け強きを挫き…
困る者には手を差し伸べる。
…そんな心優しき魔王様は、ある日突然その地位から堕ろされる。
…それは一人の悪魔、かつての彼女の従者だった男の手によるものだった。
…魔王は従者に、在りもしない罪を着せられ、人間達に引き渡された───
───青空には雲一つ無く、どこまでも広がっていく…まさに快晴。
そんな青空の下には、神々しい建物が聳え建つ。
それは教会。
美しく響く鐘の音…
光を取り込み、目が眩む程美しいステンドグラス…
聖堂の中、壁や天井に描かれた、実在の逸話の情景…
大聖堂にはたくさんの民衆が集められていた。
それは優しき魔王様の処刑の告知だった。
「処刑は三日後。それまで独房に閉じ込めておけ」
…心優しき魔王様は、一人独房の中、考える。
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