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──運が良い。
僕は昔からそう言われる事が多かった。
友人達と共にイタズラした時もそうだ、友人達だけが怒られて、僕は怒られなかった。
“運が良い”
なんてよく言われる。
なのに、この状況はなんなのだろうか?
僕の前にはたくさんの兵士…それも敵兵だ。
前だけじゃない。
右、左、後ろ、周りは全て敵だらけ、周りの味方は動かない。“運良く”僕だけが生き残った。
「…」
増援は期待できそうに無い。
左手に握った相棒を見る。
美しく、繊細で力強いソレは、共に幾度の死線をくぐり、一度も期待を裏切らなかった。
聖剣『エクスカリバー』。
抜き放った者には神に等しい力を授けるという剣。
ただ、伝説と違うのは装飾の施された宝剣ではなく、機能美だけを注ぎ込んだような無骨な長剣だということだけだ。
…敵の一人が襲い掛かってきた。
さっきまで考え込んでいて、反応できなかった。
…まずい、やられる…!
殆ど無意識に頭をかばって…
…ちょうどその時だった。
黒い髪に黒い服、右腕に鎖を巻いた何者かが僕の前に降りてきたのは。
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