七月七日 (3)

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その何者かは圧倒的だった。 武器も持たず、まるで目についた物をただひたすらに殴り続けているように暴れる。 いや、暴れるのとは少々違う…何故なら鋭く繰り出される攻撃を全て避け、いなし、かわし続けているのだ。 あっという間に周りを囲んでいた敵兵は全滅。 僕はまた“運良く”助けられたのだ。 「なぁ」 声をかけられた。 「おい」 「はい?」 「大丈夫か?」 「え?」 別に体に以上は無い。ケガもしてないし… 「ここにいるの、お前だけだぞ?」 言われて気が付いた。誰もいない 「あれ…?」 「…送ってやるよ。どっちだ?」 「あ、こっちです。」 なし崩し的に招待する事になってしまった…けど、むしろ良いことだ。 あんなに強い人が今は敵ではない。というのはどれだけ安心することか。 「あ、僕はフェイ。フェイ・アーサーと言います」 「ん?あぁ…キョースケ」 「分かった、じゃあキョースケ、こっちだよ」 今はこの人を連れて帰ろう。 その後で考えればいいや。
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