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──結局フェイに連れられて城の中へと入っていった。
無駄に広い謁見の間に着いてからは、心なしかフェイの表情から緊張が抜けていた。…気がした。
…まぁ、オレと話していた時もそうだったが比較的嬉しそうだ。
その理由はこの広間に来た時に分かった。
「…という訳で、彼をこの国の兵として雇用しました。」
「…分かりました。して、そちらの方は?」
「え、と…彼はフリーの傭兵でして…」
…は?
「フリーというのも彼は記憶を失っていて、自分の故郷や過去が思い出せないんです。」
…すると今まで黙っていた可愛らしいお姫さまが口を開いた。
「まぁ、記憶喪失ですって?…お気の毒に…分かりました!お父様、この方を我が国に…」
…何やらややこしい事に。ちらりとフェイを見るとお姫さまに見惚れながら「ゴメン」と小声であやまって来た。
「フェイ・アーサー」
「はッ!」
「この方の雇用を認可しましょう…そしてあなたは?」
「…キョースケ…」
「ではキョースケ、フェイと共に兵舎をお使いください。」
「では失礼します…キョースケ、こっち。」
…そして広間を後に。
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