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あの不思議な夢は何だったのだろう?
朝、起きて考えた。
今日は6月15日。
涼子の命日。
ふと思い浮かべた一昨日の夢。
少し自嘲気味に笑って、俺は時計を見た。
まだ朝の5時だ。
「早すぎ・・・」
待ち合わせの時間は9時。
肩をがくりと落とす。
珍しく寝起きは妙にすっきり。
しかも1人で目覚ましに起こされる前に起きてしまった。
「ったく…」
思わず溜息が漏れる。
身体を起こし、キッチンへと足を運んだ。
昔、まだ俺と涼子が高校生の頃。
同棲をしていた時期があった。
あの頃は早起きなアイツに起こされるのが当然で・・・
寝るのも俺の方が早くて・・・
アイツの寝顔を見るためにわざと早起きしたりもした。
3日ともたなかったけど・・・
元々寝起きの悪い俺はいつも不機嫌で。
だけど、涼子が作るホットミルクのお陰で直ぐに機嫌は直った。
そういえば、希望もそうだ。
幼い頃に涼子を亡くしてから毎朝、ホットミルクをせがんでいた。
当時、希望の父親だった琉衣は困り果てた。
涼子の作るホットミルクの味にはどうやっても近づけなかった。
ホットミルク・・・
飲みたくなってきたな・・・
‘え?ホットミルクの作り方?そんなの簡単でしょう?’
‘お前のと姉貴のじゃ全く違うんだよ’
‘私のは愛情が入ってるから’
‘はぁ?愛情・・・ってお前’
‘あ、照れてる?’
‘アホ!早く飯作れよ!!’
‘アハハッ・・・は~い’
自分で作ったホットミルクは思ったよりも美味しくて・・・
だけど・・・涼子のホットミルクとはどこか違った。
「・・・あぁ・・・愛情なんて自分で自分に入れられるモノじゃねぇしな・・・」
少し可笑しくなって笑ってみた。
そしたらさっきより心が軽くなった気がした。
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