プロローグ

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希望が起きる前に俺は既に家を出た。 自販機で煙草を買って、そのままいつもの場所にいく。 いつも・・・ 涼子と待ち合わせをしていた場所。 レンタルショップの裏。 駐車場になっていて、しかもあまり人も通らない。 屋根もあるし。 そこでいつも涼子と話をしていた。 馬鹿な話ばっかりで・・・ だけど楽しくて・・・ 煙草を一本取り出し火をつける。 そして煙を肺一杯に吸い込み、吐き出した。 「・・・・まだ6時半か・・・」 やっぱり早過ぎる・・・ 「砂那君!ここに居たんだ」 声が聞こえた。 「なんでお前が居るんだよここに」 「ほら、幸せな思い出の残像に僕も入ってたじゃない」 「俺の思い出を汚すな!」 爽やかに笑う男は眼鏡を少し上げた。 「久々だね。希望は元気?」 立野琉衣、希望の父親だった男。 そして涼子の旦那だった男。 俺から涼子を奪い、俺に涼子の最期をくれた男。 「琉衣」 「何?」 「お前さ~変な夢見なかった?」 気になって聞いた。 琉衣が此処に居る事。 何故か偶然とは思えなかった。 「あぁ~変な夢か・・・きのこが襲ってきた夢ならみたよ」 「きのこに何したんだよお前は・・・」 琉衣の冗談に呆れた俺。 だけど、何故か2人とも笑みが漏れた。 「砂那君・・・涼子が戻ってきたらどうする?」 不意に問われた事。 同時に悟った。 あぁ、こいつも夢を見たんだ。 涼子の夢を。 「オカルトかよ」 「違うよ」 顔を見合わせ苦笑した。 不可能。 だけどもしも現れたなら・・ それが幽霊だとしても夢だとしても嬉しい事。 「告白する」 「僕も~」 「「ざけんなよ」」 俺達は暫らくずっと笑っていた。 だから涙が頬を伝う感覚はきっと気のせいだ。
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