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大阪での墓参りを済ませた。
俺達は東京に戻り、いつもの居酒屋で飲んでいた。
「天野という財閥は結構が謎が多いんだ」
水元が何かを真剣に語っている。
「神の使いだって噂もあるよね」
愛莉もその話を真剣に聞いている。
俺は朝、空港で見た2人が忘れられなずずっと気がそれていた。
「でもなぁ~神の使いって胡散臭いやん」
「宮瀬姉は分かってねぇな。それがまたロマンチックなんじゃねぇか」
「勇樹からそんな事を聞くなんてね。逝っちゃえよ」
「何気に酷いよな琉衣は」
皆が語らう中で俺だけは話に入らない。
違うな・・・入れない。
今は、そんな気分じゃなくて・・・
「俺さ~相沢にそっくりな女さっき見たんだよね」
急に勇樹がそんな事を言いだした。
「どこで!!」
俺は咄嗟に叫んで勇樹の方へと振り向いた。
「あ?あぁ・・ここに来る途中で。2人組見たんだけど」
まさか・・空港の?
俺は目を見開く。
そして再び口を開こうとしたら携帯が鳴った。
メールだ。
希望から、今日は遅くなる。
との事。
「・・・」
「おい砂那?」
「あぁ悪い・・・俺今日もう帰るわ」
気分が優れない。
俺は今、誰とも話をする気分じゃない。
‘砂那・・・’
涼子・・・
何でこんなに会いたくなるんだろうか?
どうして・・・
こんなに想ってしまうのだろうか?
俺は他の女に告白だってされた。
それなりに付き合ったこともある。
だけど、どうしても駄目なんだ。
どうしても愛せない。
愛を簡単に言葉にできるのに・・・
心から愛せない。
こんな不毛な想いをするくらいならいっそのこと死んでしまいたい。
幽霊になってあいつと結ばれるならそれでも良い。
妙な考えに自分でも笑ってしまう。
俺は結局・・・13年間で何も変っていない。
涼子が死んだ日と同じ。
アイツが消えない。
アイツの死を認めたくないんだ。
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