海へ

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車は住宅街の坂道を登っていく。 「もうすぐ海だよ。」 二人でバカにした英語のスペルが間違っているレストラン。 まずいラーメン屋。 缶コーヒーを買ったコンビニ。 急な上り坂、日曜日なのもあり、道が混んでいるため二人の思いでの場所が、その思い出を、思い出させる為の様にゆっくり窓の外に現れては流れていく。 そしてゆったりとした速度のまま、坂の頂上にたどり着くと 「海だ。」 目の前には素晴らしい絶景が広がる。 高台の上から見える町並みとどこまでも広がる海。 お互いの家からは遠くはないその坂の上。 子供の頃から何度かは見たことのある眺め。 だが初めて二人で見た時はいたく感動しておおはしゃぎしたものだった。 「どうだい?この海。初めて見た時はおおはしゃぎしたね。五年前か…若かったな。まだ学生だったもんなぁ。」 頂上から今度は急な登りだった分、今度は急な下りになる。 そして坂を下ると海に出る。 「じゃあ海辺を走ろうか。」 カーブの多い海辺の細い道。 その道を車は快調に飛ばしていく。 海辺には二人の思い出が多くあった。 よく行った海浜公園。
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