はじめまして、嘘つきです。

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  ねえ、知ってる?さっきから言ってるけど、私馬鹿なんだよ。嘘じゃないよ。こればっかりは、嘘じゃないよ。 だけどさ、新撰組ってのは知ってるよ。名前だけ。 名前だけ。 あれでしょ、歴史でしょ。 歴 史 で し ょ 。 「しん……せん……ぐみ……?」 「あ、ああ……」 顔怖いは、気まずそうに顔を反らした。 ……なんだ? 周りの男たちも、なんだか気まずそうにしている。 でも、いや、いやいやいやいやいやいや、まてまてまて。 「新撰組……」 過去……? 「おい……、大丈夫か……?…………怖い……か……?」 …………怖い? 「顔?」 「違ェわ!」 いや、怖いよ。あんたの顔。 過去……過去……過去過去過去………… はっ! 急いで袖を捲って、二の腕やら手首やらを見た。 「なっ、何してんだ!?」 いや、例のタイムリープと言うやつかと思いまして。 体のどこかにあるはずの、数字のアザを探してたんですよ。 あれは泣いたわ。でも、もう二度と会えないってのが悲しかったなあ……。 ……にしても、体のアザが酷いな…… えーっと、つまり、新撰組だから………… あ、私馬鹿だったんだ。 何時代か分かるわけないじゃない。 んー……、昭和、明治、江戸……平安、奈良、縄文、弥生…… 他になんか時代あったっけ? 新撰組、……江戸時代っぽい。 私の直感は当たるのよ。馬鹿は直感と本能のままに生きる生物だからね。 世界の馬鹿さんごめんなさい。  
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