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「さあ、今日はどうしようかな……」
孤児院で育った私は、院を出てからも働く気など無かった。
だから、同じ年代の院の子、四人と、家族のように一緒に生活をしていた。
でも、もう帰れない。
彼が、先に帰ってしまったから。
私が、居場所を壊してしまったから。
ふらふらと歩いていると、ポタッと額に、冷たい物が触れた。
「あーあ……、雨とか……最悪。……もうなんでもいいや。」
神は、私を嘲笑っているのだろう。
惨めな私を、もっと惨めにさせるために、雨を降らせた。
それとも、私の代わりに泣いてくれたのだろうか。
……それはないな。
百回もの嘘をついた私に、呆れてしまったのだ。
神はもう、忘れただろう。いや、覚えてさえいないかもしれない。
だから私は、全ての嘘を覚えている。罪の中に体を埋めて、誰も知らない私の嘘を、私自身が覚えてさえいればいい。
そして今日は、私のついた嘘、百回目記念日。
記念日だから、何か起きるかな。
ふらふらと歩いていた私は、今どこにいるのだろう。
そんな私の横を、大きな白い車が通り、すぐに止まった。
ほら、起きた。
車から男が三人、降りてきて、私を囲んだ。
「お姉ーさん。大丈夫……」
「ねえ。」
雨に濡れた私の肩に、腕を回してきた金髪。そいつの言葉をさえぎって、顔を向けた。
「ねえ、遊ばない?」
男たちはにやりと笑って、車へと私を導く。
「その代わり、今日泊めて。行くとこないの。」
神は、どう思っただろう。
今度こそ、見捨ててくれただろうか。
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