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寒さと痛みで目を覚ました。
意識はあるが、体が動かない。と言うより、動く気がない。
目を開ければ、雨が目を叩く。
それを痛いと思った時、まだ生きてるんだ。と、頭のどこかで感じた。
雨のせいで、体が冷たくなってきた。同時に、睡魔も襲う。
頭をカクンと横に落とした時、目の端で、血に染まった草が見えた。
……頭切っちゃったかな……眠くなってきた……
このまま死んだりして……
…………それも、悪くないかな……
そう、思ったのに。
「……おいっ……おいっ!どうしたっ!!」
誰かに肩を叩かれている。
神は、嫌いな奴をほっとくんじゃなくて、虐めるタイプらしい。
だけど、肩を叩かれても、揺さぶられても、今の睡魔には、勝てない。
冷たくなる自分の体に、人の温もりを感じながら眠りについた。
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「おいっ……!死んだのかっ!?生きてんのかっ!?」
「土方さん、落ち着いて下さいよ。息、あるでしょう?」
「あ!?……あ、ああ。」
「着物も泥だらけですし、頭、ちょっと切ってますね。……誰かに襲われたのでしょうか……綺麗な方ですし……」
「……殺されなかっただけでも儲けもんだろ。屯所に運ぶぞ。山崎に看てもらんねえと。」
「そうですね……。土方さんが運んであげて下さいね。番傘持ってあげますから。」
「ったく、相変わらずおめえはちゃっかりしてんな。こいつ見ても焦りもしねえ。」
「……慣れですよ。」
「そうか。」
「うわあ。そこ、ちょっとは気まずくなって下さいよ。」
「総司相手に気まずくなったって、しゃあねェだろ。」
「…………。」
「いてっ!番傘刺すな!こいつ落ちんだろ!」
「あ、すみません。手が勝手に。」
「…………。雨、強くなってきたな……。」
雨はまだ、止まない。
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