山南の部屋を開け、中にいた驚いた表情の山南に話しかけた。
「山南さん!」
「みっ、美幸さん?どうしたんですか?」
「私の頭をよくして下さい!」
スチャッと座った美幸に、山南は優しい顔を向けた。
「それはいい心がけだね。もちろん。私で良ければ。」
「わあっ!ありがとうございます!まあ別に馬鹿でもいいっちゃいいんですけどね――」
頭がよくなれば、自分の気持ちがわかるかも。
そう続けようとした美幸に、相変わらず笑顔な山南が言葉を被せた。
「駄目ですよ?」
美幸にしっかりと向き直った山南は、やはり笑顔だった。美幸は頭をかしげて聞き返す。
「何がですか?」
「馬鹿でいい、って事がですよ。馬鹿は駄目です。」
「へ?」
馬鹿で何が悪い!と日頃から言っている美幸を、山南が笑顔で否定している。
なにか、嫌な予感がした。
「馬鹿な人は、無知な人は、人を傷つけます。そして、それにさえ気づかない。考える事が出来ない人は、他の誰かのことを考える事も出来ない。
馬鹿は、罪になる。」
私はそう思いますがね……。と山南は後ろを向いて、おもむろに本を一冊とり軽く中身を見た。
美幸の顔からは笑顔が消えていた。
「美幸さん。勉強するのはいいことです。ですが……やはりあなたは周りが見えていない。
今土方さんと永倉君が不仲なこと、知っていますよね?」
「……は……い。」
山南はパタンと音をたてて本を閉じ、美幸を見据えた。
「美幸さんのせいでは……ないんですか……?」
最初のコメントを投稿しよう!