40人が本棚に入れています
本棚に追加
「は…?」
「おそろい、だなっ。赤也」
どきん。聞こえちまうんじゃないかってくらい大きな音を立て心臓が跳ねた。丸井先輩に目をやると、はにかんで笑っている。やべ、その顔反則っしょ。手が自然に丸井先輩へと伸びた。
「おいっもうやめろぃ。」
その声で我に返った。あれ、今俺何しようとた…?また丸井先輩の髪をいじくろうとした?いや、違う。途端に自分が怖くなった。そんな俺を余所に丸井先輩は続ける。
「赤也は天パって分かるけど、俺がやったらただのボサボサにしか見えないだろ」
「そ、そうっすよねっ」
「ま、機会があったら赤也みてーな髪型にしてみるよ」
そう言い残して丸井先輩は部室を出た。俺は未だにぼぅっとしてた。
「っ、あぶね…」
やっと自分がしようとしてたことが分かって今更ながら慌てた。一体、丸井先輩の目にはどんな俺が映った?もう一度鏡に目をやった。すると、ほんのりと赤くなった顔の自分が映っていた。
「なんだよこれ…ぜってーおかしい、っ」
今までとは違う丸井先輩への想いに、ただただ、もどかしくなるだけだった。
-END-
最初のコメントを投稿しよう!