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とくん。心臓の音がやけに近く聞こえると思ったら、視界いっぱいに侑士の紺色のTシャツが広がる。目線をずらせば鎖骨が見え、それは暗い色のTシャツのせいでよく映える。思わず息を飲んだ。触れたい。そう思ってそっと触れてみた。つつ、と指がすべる。なんか女みたいだな。かと言って女の鎖骨に触れたことないけど。なんとなくそんな気がして。
「ん」
『お』
「おはようさん」
『まだ3時半。起きるにはまだ早いぜ』
「さよか。まだ寝れるなあ」
『そうだな』
「またおやすみやね」
そう言って俺の頭の下に腕をくぐらせ引き寄せた。その瞬間、世界で一つしかない、侑士の匂いが鼻をかすめた。なんとなく甘いような、落ち着くような。その匂いのせいか、俺も急に眠くなり、目を閉じた。そして、引き寄せたために近くなった侑士の鎖骨にそおっと、そおっと、キスをした。おやすみ。
-END-
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