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「赤也」
『なんすか』
「好き」
『へへっ、俺も好きっすよ』
「そっか」
『いきなりどうしたんすか?』
「いや、なんでもねえ。ただ好きだなーって思っただけ」
『そんな直に言われると照れるっす』
照れた顔は俺の2番目に好きな顔。一番に好きな顔は、とびっきりの笑顔。だけどそれらの顔は、今じゃ俺を苛立てる材料にしかならない。
なあ気づけよ。俺じゃお前を幸せにできない。第一男と男だぜ?最初から分かってたはず。なのに俺はただひたすらに、お前が好きで。そしてお前も、俺を好きでいるわけで。俺達は馬鹿で。
「赤也」
『なんすか』
「嫌い」
『ほんとは好きでしょうがないんでしょ?』
この時だけ何も知らない赤也を壊そうかと思った。だけど腕はいつの間にか赤也を抱きしめていて。愛しくて愛しくて仕方なくて。もう戻れない。沈みかけた夕日を見つめ、俺は苦笑した。
-END-
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