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「はじめまして、花咲漣と申します」
「え?
あの花咲財閥のご子息?」
「はい」
「僕は島崎コーポレーションの島崎透。
宜しくね?」
「宜しくお願いします」
漣と透が互いに挨拶を交わしていると、真琴は鍵を開けて中に招き入れた。
「お兄ちゃん、紅茶でいい?」
「うん、ありがとう」
「漣先輩も紅茶で大丈夫ですか?」
「あぁ、いいよ」
真琴はキッチンに立つと、お湯を沸かして二人分の紅茶を淹れていた。
「漣くんは真琴と付き合ってるのかな?」
「あ、はい…
付き合ってます」
「フッ
そうなんだね」
「あの?
お話がしたいのですが、宜しいですか?」
「真琴…
悪いんだが部屋に居てくれる?」
「う、うん?」
真琴は二人分の紅茶を運ぶと、飼い猫のリンを連れて部屋に入った。
「お兄さん、何を隠してるんですか?」
「真琴の両親はね?
真琴を施設に預けて居なくなってしまったんだ。
それで養女として家に引き取られた」
「じゃあ、真琴の本当の両親って行方不明って事ですか?」
「ううん?
もう住んでる場所もわかってる。
母親が情緒不安定で真琴に暴力を振るおうとしたのを旦那さんが止めて…
旦那さんも入院してしまって、それで施設に真琴を預けたみたいなんだ」
「じゃあ、真琴が会いたいと思うかってのが問題なんですね?」
「まあ、そう簡単ではないみたいなんだ?
母親は真琴を産んだ母親じゃないからね」
「へ?
じゃあ、真琴を産んだ母親は別に居るって事ですか?」
「うん、そうだね?
だから情緒不安定で暴力的になったのかもしれないね」
「真琴にそんな過去があったなんて、驚いてます。
他には秘密はないですよね?」
「今のが真実だよ。
真琴にはまだ言えないんだがね」
透はそう言うと、真琴の小さい頃の写真を手渡してきた。
「可愛いでしょ?」
「天使みたいに可愛い。」
漣はそう言うと、真琴の小さい頃の写真を見ては微笑んだ。
「あげるよ。
君が好きみたいだしね、真琴は」
「透さんは違うんですか?」
「僕は兄としてしか真琴を見てないからね?」
「本当ですか?」
漣がそんな風に真顔で聞いていると、透はフッと微笑んでこう聞いてきた。
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