★0

12/20
前へ
/191ページ
次へ
「嘘だったらどうするの君は?」 「好きなら、気持ちは伝えた方がいいと思う」 「君は真琴を気に入ってる?」 「気に入ってますよ。」 「じゃあ、君に真琴は託すよ。 僕には婚約者が居るんでね」 透はそう言うと、ニッコリ笑い紅茶を飲んでいた。 「真琴は、薄々は感づいているだろうがね?」 「そうですね」 漣も少し落ち込み顔をしていたが、ある考えを思いついた。 「透さん、真琴を家に住ませてもいいですか?」 「構わないよ。 でも、いいのかい?」 「はい。 真琴が一人で寂しいみたいだったから」 「そうだね。 真琴も一人はもう嫌だろうね」 透がそこまで言うと、真琴の部屋からガタガタと音がした。 「リン、ダメですよ!」 「マコはさっきから盗み聞きか?」 「ごめんなさい。 私も気になっちゃって」 「どこから聞いてたんだ?」 「両親が私を施設に預けたってあたりからです」 「お前な」 「漣くん、もういいんだよ。 真琴だってバカじゃないんだから」 透はそう言うと、真琴を隣に座らせて申し訳なさげに頭を下げる。 「済まなかった。 ずっと言わなければいけないとわかっていたんだが…」 「ううん? 何となく気づいてたよ」 真琴はそう言うと、ニッコリ笑って漣の方を見た。 「花咲先輩に聞かれて、エレベーターを降りてお兄ちゃんが居た。 だから、そろそろ真実を知りたくなったの」 真琴はそう言うと、透を寂しげに見つめていた。 「真琴はもう一人じゃないよ。」 「うん。 友達も居るし、先輩も居るから大丈夫だよ? お兄ちゃんもちゃんと守ってくれたから感謝してる。 ありがとう」 真琴はそう言うと、深々と頭を下げてニッコリ笑った。 「どう致しまして。 真琴は大事な妹だから、これからも頼っておくれ」 「うん、ありがとう。」 「今日から花咲くんのお宅に住むんだ。 きっと楽しい毎日を彼は真琴にくれるよ」 透はニッコリ笑うと、真琴の髪を撫でていた。 「先輩、私なんかが住んでもいいのですか?」 「お、親父が喜ぶ。 娘が欲しかったらしいんだ」 漣がそんな風に告げると、真琴はフッと微笑んでからこう告げる。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

457人が本棚に入れています
本棚に追加