★0

13/20
前へ
/191ページ
次へ
「そうですか? でも、このマンションも気に入ってるんだよな~」 「真琴は心配しなくていいんだよ。 このマンションは引き払わないからね? いつでも帰って来たらいいさ」 透がそう言うと、真琴は本当に嬉しそうに笑っていた。 それから兄が帰った後、とりあえず身支度をしたりしていた私。 「マコ、とりあえず持ってけるだけにしとけな?」 「はい、わかりました」 しばらくすると、短いリムジンが急接近してきた。 「行くぞマコ。」 「ふぇ? 先輩の家の車なんですか?!」 「話は車内でするから乗れ」 漣先輩はそう言うと、私をリムジンに押し込んだ。 「漣くん珍しいね~ 僕を呼んでくれるなんて。」 「だ、誰ですか先輩?」 「執事の遠野だ。 あまり呼ばないんだが、今日は特別」 「そうなんだ~ 毎日迎えに行くのにな♪」 「来なくていい」 「つめたーい! 漣くんはそんなに僕が好きなのかい」 「嫌いだ」 遠野さんと漣先輩のやり取りはそんな感じで続き、花咲家に到着しました。 「遠野さん、面白い人ですよね? なんで嫌ってるんですか?」 「遠野は、俺好きだからだ。」 「ん? それは執事だからでしょう。」 「違う。 そっちの意味でだ」 「えっ? もしかしてラブの方面ですか?」 漣はそう聞かれて、こくりとやはり頷くだけだった。 「つまり、遠野さんは男の子が好き?」 「遠野は女だ。」 「へぇ~ 女の子だったんですね? 女の子だから…えっ!?」 「女だ。」 「遠野さんは女の子なんですか?」 「うん。 だから嫌いだって言ったんだ」 漣はそう言うと、リンを抱きかかえ撫でていた。 「花咲先輩、さっきからリン懐いてますね?」 「きっと俺が好きなんだなリンは~ 可愛い猫様だな」 リンは漣の指をペロペロ舐めていたが、真琴はフッと微笑んで見ていた。 「先輩って」 「どーした、マコ?」 「やはり花咲財閥の坊ちゃまなんですね」 真琴はそう言うと、目の前に建ち並ぶ豪邸を見ていた。 「マコ、細かい事はいーから親父に会わせる。 黙ってついてこい」 「さ、早速なんですね? 私もなぜか緊張してきましたよ」 真琴は緊張してきたせいか、キョドった顔をして俺を見ていた。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

457人が本棚に入れています
本棚に追加