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「緊張しなくても、家の親父は全く怖くねーよ。
安心して着いてきたらいい」
漣の優しい言葉で、真琴は少しだけ安心感を得ることができた。
「マコ、それと…
あんまり親父に近づくなよ?」
「なぜです?」
「抱きつかれてキスされんぞ」
「そ、それは困りますね!」
私は先輩の後に続き、豪邸の門まで歩いた。
漣先輩は豪邸の扉を何の戸惑いもなく、普通に開けた。
だが、待ち受けていたのは三人のメイドさんでした。
「「「お帰りなさいませ漣様!!」」」
「ただいま」
先輩は私が戸惑っているにも関わらず、私の手を引きメイド達に軽く返事を返した。
「つーか、ここに親父いるんだ。
とりあえず入ったら挨拶しとけな」
「は、はい。」
真琴は未だに緊張しているのか、やっぱりオロオロしていた。
「先輩?
お父様って本当に怖くないんですか?」
「大丈夫。
本当に緊張するだけ無駄だしな」
漣先輩は苦笑した顔をしながら、部屋をノックした。
「はーい。
漣くんだろ~
入りたまえ」
「マコ、入んぞ」
「は、はい。」
真琴は漣の合図で、漣の父親の部屋に入る。
「漣くーん、おっかえり♪」
部屋へ入ると、なぜか執事服を着こなした男性が嬉しそうに立っていた。
「親父、今日は紹介したいヤツいるんだ。」
「漣くんの彼女じゃないの~
パパ早く娘がほしいなぁ」
「つーか、マコは隠れすぎだ!」
「‥ふぇ?」
漣にいきなり前に引っ張り出されて、転びそうになる真琴だった。
その瞬間、漣の父親だという男性と目があった。
「か、可愛い女の子じゃないか漣くん!
お名前教えてくれる?」
「は、初めまして。
島崎 真琴と申します!」
真琴は緊張気味にそう言うと、いきなり手を引かれて抱き寄せられた。
「‥えっ!?」
真琴がビックリしていると、頬に暖かな感触がした。
「かわいいね君~」
ニッコリ微笑む執事服を着た男性に、ちょっぴりドキッとした真琴。
「あ、あの‥」
「お前が名乗れよ親父」
漣先輩はそう言うと、不機嫌そうな顔をして父親を睨んでいた。
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