★0

14/20
前へ
/191ページ
次へ
「緊張しなくても、家の親父は全く怖くねーよ。 安心して着いてきたらいい」 漣の優しい言葉で、真琴は少しだけ安心感を得ることができた。 「マコ、それと… あんまり親父に近づくなよ?」 「なぜです?」 「抱きつかれてキスされんぞ」 「そ、それは困りますね!」 私は先輩の後に続き、豪邸の門まで歩いた。 漣先輩は豪邸の扉を何の戸惑いもなく、普通に開けた。 だが、待ち受けていたのは三人のメイドさんでした。 「「「お帰りなさいませ漣様!!」」」 「ただいま」 先輩は私が戸惑っているにも関わらず、私の手を引きメイド達に軽く返事を返した。 「つーか、ここに親父いるんだ。 とりあえず入ったら挨拶しとけな」 「は、はい。」 真琴は未だに緊張しているのか、やっぱりオロオロしていた。 「先輩? お父様って本当に怖くないんですか?」 「大丈夫。 本当に緊張するだけ無駄だしな」 漣先輩は苦笑した顔をしながら、部屋をノックした。 「はーい。 漣くんだろ~ 入りたまえ」 「マコ、入んぞ」 「は、はい。」 真琴は漣の合図で、漣の父親の部屋に入る。 「漣くーん、おっかえり♪」 部屋へ入ると、なぜか執事服を着こなした男性が嬉しそうに立っていた。 「親父、今日は紹介したいヤツいるんだ。」 「漣くんの彼女じゃないの~ パパ早く娘がほしいなぁ」 「つーか、マコは隠れすぎだ!」 「‥ふぇ?」 漣にいきなり前に引っ張り出されて、転びそうになる真琴だった。 その瞬間、漣の父親だという男性と目があった。 「か、可愛い女の子じゃないか漣くん! お名前教えてくれる?」 「は、初めまして。 島崎 真琴と申します!」 真琴は緊張気味にそう言うと、いきなり手を引かれて抱き寄せられた。 「‥えっ!?」 真琴がビックリしていると、頬に暖かな感触がした。 「かわいいね君~」 ニッコリ微笑む執事服を着た男性に、ちょっぴりドキッとした真琴。 「あ、あの‥」 「お前が名乗れよ親父」 漣先輩はそう言うと、不機嫌そうな顔をして父親を睨んでいた。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

457人が本棚に入れています
本棚に追加