始まり

2/13
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
「ねぇ、おばあちゃん。」 まだ、幼い少年はソファーに寄りかかっている優しそうなおばあさんに問いかける。 「なあに?佑眞(ゆうま)。」 おばあさんは、優しい笑顔を浮かべ、佑眞と呼ばれた少年へと問い返す。 「また、あのお話をして!」 佑眞は数回、軽くジャンプをしておばあさんを急かす。 「はいはい、佑眞は本当にこのお話が好きねぇ。」 「うん!大好き!だって、テラデウスがカッコいいんだもん!」 佑眞がテラデウスと口にした瞬間、おばあさんの顔色が変わった。 「佑眞!その名前は軽々と口にしてはいけないと言っただろう?」 佑眞は、おばあさんに言われ、ハッとしたように自分の口を両手で押さえた。 「ごめんなさい…。」 しょんぼりとしたように謝りの言葉を述べる。 「今は、私たちしかいないからよかったけど…。」 すると、おばあさんは佑眞の両肩を優しく掴み、真剣な眼差しで見つめる。 「佑眞。この話しは、神御(しんみ)家以外の者には絶対に話してはいけないよ。」 佑眞はおばあさんの真剣さに気づき、コクリと深く頷いた。 だが、この頃の佑眞はなぜ、話してはいけないのか疑問を持ち、コトの重大さに気づいてなかった。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!