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「ねぇ、おばあちゃん。」
まだ、幼い少年はソファーに寄りかかっている優しそうなおばあさんに問いかける。
「なあに?佑眞(ゆうま)。」
おばあさんは、優しい笑顔を浮かべ、佑眞と呼ばれた少年へと問い返す。
「また、あのお話をして!」
佑眞は数回、軽くジャンプをしておばあさんを急かす。
「はいはい、佑眞は本当にこのお話が好きねぇ。」
「うん!大好き!だって、テラデウスがカッコいいんだもん!」
佑眞がテラデウスと口にした瞬間、おばあさんの顔色が変わった。
「佑眞!その名前は軽々と口にしてはいけないと言っただろう?」
佑眞は、おばあさんに言われ、ハッとしたように自分の口を両手で押さえた。
「ごめんなさい…。」
しょんぼりとしたように謝りの言葉を述べる。
「今は、私たちしかいないからよかったけど…。」
すると、おばあさんは佑眞の両肩を優しく掴み、真剣な眼差しで見つめる。
「佑眞。この話しは、神御(しんみ)家以外の者には絶対に話してはいけないよ。」
佑眞はおばあさんの真剣さに気づき、コクリと深く頷いた。
だが、この頃の佑眞はなぜ、話してはいけないのか疑問を持ち、コトの重大さに気づいてなかった。
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