ある青年の譲歩と懇願

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いや、待ってくれ。俺の説明が悪かった。 鏡に映った自分に話しかけているだけならば姫のフォローはできない。説明には続きがある。 さて、この鏡。見ていると、どうにもおかしな点があることに気づいていただけるだろう。 まあ、目の前に「はいコレです」なんて出せはしないわけだが。 では、目の前の光景を説明しよう。 鏡の前の姫は顰めっ面、あるいは無表情。 しかし、鏡の中の表情は… 「やだ、なに見つめてるの?」 こちらに気づいて、照れちゃう。などと、ひどく楽しげににっこりとしてみせた鏡の中。 「お嬢…楽しそうですね」 「口を挟まないで居候」 「ま、姫ったら辛辣なのね」 「本当に楽しそうね…」 お分かりいただけただろうか。 というか、お分かりいただけないとなると、俺としても説明の使用がないのだが。
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