ある猫嫌いの苦悩

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俺は猫が嫌いだ。 いきなりだろうがなんだろうが俺は猫が嫌いだ。 ついこの間、猫好きニコ中の同僚にはっきりとそう告げた。 勿論それはアイツラだって知っているはずだ。 なのに… 「にゃー」 「なんだ、これは…」 今、俺の目の前の寝床に座り、 (さもここが特等席みたいな顔をしているのが腹立たしい) じぃっとこちらを見つめているこの物体… 『猫だ。可愛かろう』 自慢気な声が響いた。 聞いている方としてはすぐ横に立っているかのよう… いや、今はそんなことはどうでもいい。 「なんのつもりだ…」 『名付けて、にゃんちゃん克服大作戦です!』 『お前があまりにも猫が嫌いなようだからな、治してやろうと言うのだ』 感謝しろ。と偉そうに言う。 横に立っていたら確実にぶん殴っていた。 それはもう二度と原型が拝めないほどに。 「要らん世話を…」 『あれ?お気に召しませんでした?にゃんちゃん克服大作戦…』 胡桃、ネーミングの問題じゃないんだ。 そして弥生は笑いを堪えるな、聞こえてるんだよ。 『柩に"にゃんちゃん"とは…』 『可愛いじゃあないですか!』 「取り敢えずお前ら二人黙れ」 そういって、目の前に鎮座している最大の難関を見遣った。
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