寵愛魔法使い

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椅子に座った僕の遥か上にある頭はボサボサで、どこの美容院で切っているのか、そんな髪型にされたら慰謝料とれるんじゃないの、と突っ込みたくなった。 「…ん?ああ、樹美[タツミ]…なんでいんだ?」 「あれ、バレた?なんで」 「いや、その髪型…よく見てたし。」 「そうか…」 星司さまと隣に立つモジャモジャの会話が右から左に流れていく。 なんなの、コイツ。 なんで星司さまと親しそうに…!! むーかーつーくーッ ピ――――――ッ 首にかけていた笛を思いっきり吹くと、その場… 食堂は、シンと静まり返った。 「……ッ…ちょっと、そこのオタク!!」 「は、オレのこと…」 「アンタ以外に誰がいるの、ばか!!」 むかつく 「星司さまに近づくなんて100万年早いの!!星司さまは僕のなんだからっ」 ――ギュッ… と、星司さまの程よく筋肉のついた腕に抱き着いて睨みつけた。 「―――…」 「ちょ、聞いてるの!?」 「聞いてる、が…」 肩を奮わせるオタクは、きっと僕の怒りが相当怖かったみたい。 当然だよね!僕は会長の親衛隊隊長なんだから 「…な、可愛いだろ?」 「ああ、可愛い」 …ん? 「星司さまッ!!」 「ああん?」 「今…可愛いって、言って下さいました!?」 「ああ、言った。」 そんなの… 「嬉しいです。……大好き」 僕の頭は、さっきのオタクのことなんかすっかり忘れて… 星司さまでいっぱいに。 .
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