寵愛魔法使い

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隊長の座は親衛隊の憧れだから、いつ奪われてしまうか分からない。 成績が落ちたことが理由でリコールでもされたら… 嫌だっ!! 隊長座は死んでも渡さない! なんて決意を固めていると、ニーナは呆れて席についてしまった。 あーん、せっかく… これからのふたり~新婚生活ばーじょん~ 妄想聞いてもらおうとしたのに。 誰と誰が新婚生活だって? もちろん、僕と会長の! イメージ的にはハワイで2人きりの結婚式をしてから、披露宴を…(以下略) はあ、妄想って素敵―… ―――ザワッ… 突然、クラスの雰囲気が変わって僕の妄想タイムは終了した。 「げ。」 みんなの視線の先、ドアの方を見れば…休憩時間もあと残り2、3分だというのに、黒いもじゃもじゃのオタクがいた。 相変わらず変な頭。 「ちょっと、オタク!何して―…」 「お前に用があんだよ。来い」 え?うええ、 「は、離して…!!」 そのまま、引きずられるようにして廊下を歩き、エレベーターに閉じ込められた。 「オタクのくせに!おーかーさーれーるーっ」 星司様ァ、貴方の歩夢はピンチです…!! 「黙ってろ。星司に呼んでこいって言われたんだよ、安心しろ」 「ふぇ?」 「生徒会の資料作成が終わらないんだと。……ったく、なんでオレまで」 ぶつぶつ言うオタクの台詞なんて、もう…耳に入らなかった。 てことは、行き先は生徒会室か… っ大変、オシャレしなくちゃ…!! 慌ててポケットから、うさぎの小さなポーチを出すとリップを塗って髪型を確認。マスカラもしたいけど… 「―――キモい、」 心底引いたように呟くオタクに、ムカついた。 「星司様に好かれていられるように、努力してるの!!黙っててッ」 .
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