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「どちら様で……誰?」
俺の目の前には赤みがかった黒髪を後ろでまとめて肩より少し長いポニーテールの女の子がメリケンサックを左手に装着して仁王立ちしていた。
よく見ると女の子の横には大きめの旅行用の鞄だ。
「誰だかわからないのならどちら様でしょうかって普通に最後まで言えば良いじゃないのよ!!」
確かにそうだ。俺はあまりにも見慣れしない光景を目の当たりにして変な喋り方をしてしまった。
「確かにそれもそうだな。それで誰で何の用だ?」
「私? 私の名前は由宇葉【ユウハ】よ」
どうやら名前は由宇葉らしい。名字は言わなかったがこの時は深く関わらない人間だと思っていたから興味が湧かなかった。
がしかし…………
「私、今日からここに住むから!」
「はぁ?」
「だから私は今日からここに住むの!!」
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