標的・篠宮 祐一

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そして、簡単な挨拶だけを済ませ目的の場所である保健室に行く事にした。 途中、生徒に何度も声を掛けられたがそこは、さすが遠夜と言った所だろうか。 「何か聞きたい事があれば何時でも保健室に来てね」 そうにこやかに告げれば殆どの生徒はそれ以上追求しようとはせずに去って行くのだ。 別に、特別な力を使っている訳ではないが遠夜の独特な雰囲気とその端正な容姿に圧倒されてる気がある。 ようやく保健室に着いた所で扉を開けた瞬間、異様な感覚が全身に走る。 「…やっぱり…この魔力の気配は… …!」 言葉に詰まり体が強張った。 何故なら今、目の前にいる人物―… 「あれ?見かけない方ですね…。 あ、樋渡先生の代わりの先生ですか?」 あの字を書いた男の姿が目の前にいる。 遠夜にしてもある程度、情報を集めてから接触するつもりだったが…あまりにも早い接触に些か動揺するものの直ぐに冷静さを取り戻して挨拶をする。
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