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「…どうかされましたか?」
「………本当に綺麗ですね。
このまま飾っておきたい位です」
その表情は恍惚としている。
そして、先程よりも魔力の気配が強まっているようだ。
「口がお上手なんですね。
ですけど、飾られるとさすがに不自由ですから遠慮しておきますね」
遠夜の顔は笑ってはいるが…眼が笑っていなかった。
だが、篠宮はそんな遠夜の表情に気づかないのか更に顔を近づける。
「本当に…綺麗だ…。
この顔…首が…」
伸ばされた手が遠夜の首にかかる寸前。
「篠宮先生」
「!?」
先程までの穏やかな口調よりややきつめの声音で呼びかけるとようやく正気に戻ったのか遠夜から離れ距離を置いた。
「す、すいません…。
僕…時々、ふと意識がなくなる事があって…」
「いえ…構いませんけれど…大丈夫ですか?」
「はい。
あ…それじゃあ僕はそろそろ行きます。
治療ありがとうございました」
そう言って何事もなかったかのように保健室から出て行った。
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