標的・篠宮 祐一

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女子生徒の話す内容はほぼ遠夜が依頼者である良江に聞いた内容と非常に酷似している。 ただ少し違う点もあった。 「あの先生…昔からあんまり良い評判のある先生じゃないんです。私の他にも以前、先生に目を付けられていた人がいたんですけど…」 「…その生徒はどうしたの?」 聞かずともこの張り詰めた空気からは良い結末でない事は確かだった。 「…今、その人は行方不明になってます。 他にも…結構いるみたいです…」 しかし、其処まで問題があるのなら警察沙汰になっていてもおかしくはない。 普通ならば懲戒免職物だろう。 それどころか犯罪者として警察に捕まっている。 それなのに…何故? 「…篠宮先生のお父さんが政治家のある人で…」 「なる程…」 確かに政治家で有力者となればマスコミや警察を抑え込む事は可能だろう。 学校にしても問題事はあまり表に出したくない筈だ。 しかし、そんな閉鎖的な環境がこうして何の罪もない女子生徒達を犠牲にしている。 同じ女として遠夜も憤りと静かな怒りを覚えていた。
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