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「はい…。
分かっています。…分かっていますが…どうしても…
私には…許せない人間がいるんです…!」
女性の声は震えていた。
きっと、そう思うまでに至った余程の事があるのだろう。
でなければ、こんな所には来ないはずだ。
「…差し支えなければ、事情をお伺いしてよろしいですか?」
「…はい。…どこから…お話しましょうか…。
…今から、4年前…私には年の離れた妹がいました」
ぽつりぽつりと過去の出来事を頭の中で手繰り寄せながら話し始める。
「妹は、私よりも出来が良くて両親にとっても私にとっても自慢の妹でした。
容姿もとても愛らしくて学校でも頻繁にモテていた様で…
でも…丁度、妹が17歳位の当時…ある男から執拗なストーカー行為を受けていたんです」
女性の顔が苦しげに歪む。
表情から察するにストーカー行為を受けていた当人だけではなく家族にとってもその行為は酷かったのだろう。
「最初は、無言電話が数件…妹宛てに一言だけの手紙が届く位でした」
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