依頼者・佐久間 良江

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「一言だけの手紙ですか…。 その内容と言うのは?」 勿論、男が自分で彼女の家のポストに入れたのだろう。 そんな男が手紙に一言だけ…一体何と書いたのか気になるところだ。 「それが…」 「それが?」 「……手紙には 【後10日】 と、日毎日毎に日数が減らされた手紙で…」 「【後10日】…ですか…」 「そして、残り5日を切った辺りから…ある物が届く様になって…」 彼女の声が今までよりも震える。 今にも泣き出しそうな声に遠夜は優しく声を掛けた。 「大丈夫ですか? つらいのでしたら無理に話さなくても大丈夫ですよ」 その声はとても穏やかで、本当に彼女の事を案じての声かけだった。 彼女もその声に安心したのか深呼吸を数回した後、再びゆっくりと話し出した。 「…残り5日を切った辺りから… …動物の…体の一部が切り取られたものが…家に届くようになって… 妹は勿論、私達家族もとても怖くて… いつか…妹までこんな目に合うんじゃないかって…っ」
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