序章

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痛い程青い空が広がっていた。 冬の澄んだ空気に青さが際立って、吸い込まれてしまいそうな日だった。 このまま吸い込まれてしまえばいいのに… 大空に。 それが叶わないのは誰でもだけど、僕は自分の名前が「海」だからだ、と名前を恨んだ。 親父が、いや、かつて父親だと呼んだ人が好きだった海。 僕はその人の好きだったもので名付けられた。 海…僕はこの名前が大嫌いだ。 僕の中にあの人が居ることを思い知らされるから だからこの名前が大嫌いだ。
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