7人が本棚に入れています
本棚に追加
1月31日。日本はまだ風に乗ってわずかに春の香がするだけで、コートを脱ぐには早すぎる時だ。
「愛ちゃん♪お誕生日おめでとう☆」
決して僕には向けない笑顔で父親は愛に言った。
僕と5才下の弟は黙っていた。
ふいに父親が僕たちを見た。
「あのなぁ、可愛い娘の誕生日にグァムで誕生会をやってやる。ママの誕生日も一流ホテルでディナーをとる。これがステイタスってもんだ。愛もママも幸せ者だ」
僕は母の顔がニコニコしているが、目が笑っていないことに気づいていた。
そしてその理由も…なんとなく感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!