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それをつけてメーカーの宣伝するわけだから、あまり下手ではなれないよな…
もう10年も前のライダーマークをつけて海に入る。
父は自慢気だが、僕にはさっぱり理解できなかった。
上手な人がつけるマークをつけて、腹の出たおじさんが「ライダーだ!!」と注目を浴びながら大して上手くなく波に乗るんだよ?
今朝も起きると父はもうホテルには居なかった。
壁に立て掛けてあったサーフボードと浴室にあったウェットスーツがない。
あぁ、これで夕方まで恐怖に怯える必要はなさそうだ。
二才の娘、五才の息子、十一才とはいえ、まだ何の役にもたたない僕を連れて、いくらグアムとはいえ、ホテルを出てあちこち彷徨く勇気は母にはなかった。
「真海(まさみ)、プール行こう!」
僕は弟を誘い、ホテルのプールに行くことにした。
「ママ、行って来るね!
一時間くらいしたら戻るから、そうしたら朝御飯行こうね!」
母は嬉しそうに笑い
「気を付けてね。真海、お兄ちゃんの言うこときいてね♪」
と手を振った。
元気にしてなきゃ。
左手の甲には大きな絆創膏を貼ってある。
痛くなんかないよ。
あんなこと、なんでもないよ。
直接その言葉を言うより、元気に笑っている方が母は安心する。
かわいそうなママ、いつか僕はあなたを護れる大人になるからね…
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