音の記憶 4

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「ははは^^  おわかりですか?」 「余計なことでしたね」 「いや、イイんですよ」 「すみません、つい」 「そういう貴方こそ  イラクかソマリア?  時々・・・  殺気が見えますよ」 「そんなことも・・・  あったかも、です」 と、会話が行き詰って しまった。 そろそろ辞去しようか。 そう思ったとき。 「忘れたい音が  あるんですよ」 独り言じみた口調で、 男が語りだした。 「耳の奥から離れ  ないんですよ」 「えぇ」 「コレの、ね・・・」 「はい」 「バイオリンの金切り  音なら、きっと忘れ  させてくれる、って  思いまして」 銃弾が耳をかすめる 音か 爆薬が炸裂する音か 戦場の記憶は、帰還 してしばらく経てなお、 兵士を不眠症で苦し めるものだ。 よくわかるよ。 「で、その音・・・  忘れられました?」 「いま、上書き保存  中です^^」 「・・・ぜひまた、  演奏を聞かせて  ください」 さっさと去ろう。  「ごきげんよう」 のつもりで、言った のだが・・・ 「・・・そうだ、アンコ  ールはどうですか?」 ・・・勘弁してくれ・・・
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