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男が楽器やら楽譜を
たたむ間、僕は彼の
シルエットをぼんやり
見ていた。
開演前から感じてい
たのだが、どうもアン
バランスな雰囲気が
漂う。
なぜだろう・・・
「おまたせしました」
「おつかれさまです」
「遠慮なくごちそう
になりますね」
「強引にお誘いして、
ご都合は大丈夫
でしたか?」
「えぇ、イイんですよ。
待ってる人なんて
いませんから」
中年男ふたり。
駅前のベンチで
ワンカップ。
・・ちょっと
異様な光景だろう。
「ボウイング、キレイ
ですね^^まっすぐだ」
・・・あえて演奏自体
の評価は避けた^^;
「バイオリンなさる
んですか?」
「えぇ、ちょっとだけ」
「いやいや、お恥ずか
しいです」
ぽつりぽつり、男は
身の上話しを始め
た。
半年前に、はじめて
バイオリンを触った
こと。
師事は仰がず、我流
で練習していること。
どうしても、さっきの
曲を弾いてみたかっ
たこと。
なかなか努力家のようだ。
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