音の記憶 4

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「夢見ることは、人間にとって大事なことです。心にも大事だし、体にとっても大事なのではないでしょうか。」           五木寛之 「すごいですね~  独学ですか」 「誰かに聞かせる為  に弾いてるんじゃ  ないんですよ」 ・・・30人ぐらいに 聞かせてたぜ? さっき^^; 「ヘンな事、聞いて  いいですか?  バイオリニストさん」 「え?なんでしょ?」 最後の一礼。 あれは・・・ 敬礼でしょ? 演奏の最中、チラチラ と見えていた、顎から 首にかけての傷跡。 スポーツ格闘技など ではありえない傷。 たとえ事故で受傷 したとしても、よほど 不運でもないかぎり、 あのての傷を負う事 が無いのを、僕は知 っていた。 バランスの悪い体格、 肩幅だけ広く、あとは 外見的にはスマート。 特化した鍛えかたを した体つき。 一見、どこにでも いそうな中年男だが、 よく見れば、バイオリ ンが似合わない男 でもある。 おそらく彼は軍人か 元軍人、あるいは警察 特殊部隊か何かで あろう、と察したが、 あえてツッコミは 入れなかった。
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