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「店長、ランザさんいつもの定食です」
「りょーかい」
マリモは注文を受け、手慣れた様子でコカトリスの肉をさばく。
ここに来る客のほとんどは常連さんだから、注文もいつもので大概通じる。
肉を一口大に切ると、下味を肉に馴染ませる一方でオニオンを切っていく。
それらを串に刺し、ニンニクと唐辛子を振って、炎クリスタルを使って焼く。
しばらくすると、店内に肉の焼けるいい香りが漂いだす。
焼き上がったの肉は、綺麗に盛り付けられる。
「あがったよー」
マリモはナナコに声をかけると、次の調理に取りかかった。
「はーい」
ナナコは出来上がった[ミスラ風山の幸の串焼き]をランザのテーブルへ と運んだ。
「お待たせしました。ランザさん」
「お、今日も美味そうに焼けてますねぇ」
食事がおかれるとランザは早速串を持って豪快に食べ始めた。
「やっぱり、ここの串焼きが一番美味いです」
ランザは夢中で食べる。
このランザ。
彼は、知る人ぞ知るバストゥークの家具職人である。
実際、この店の調度品の9割はランザの手によるものだ。
彼の家具はめったに市場に出ない為、幻の高級家具として競売でも高値がつくらしい。
だが本人はそんなことも気にせず、気が向いた時に作っているだけなのだが。
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