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「ねぇ、どれにするか決めた?」
「う~ん、どれも美味しそうなのよねぇ」
「姐御、よだれ、よだれ!!」
「あら、失礼」
デザートコーナーが賑やかだ。
姐御と呼ばれているのは、ノーザ。
今、ヴァナで流行りのちょいエロブームの仕掛け人だ。
本業は イラストレーターらしいのだが、いまいち謎な部分も多い。
面倒見の良い、まさに姐御肌なミスラである。
そして、もう1人、ワイルドな容姿のミスラはヒナコ。
ノーザのよき相棒といった感じである。
大抵二人揃って店に訪れては、ケーキバイキングを嬉しそうに食べていく。
「お、 今日は賑やかだねぇ」
店に入ってきたのは、エルヴァーンのバスだ。
「おや、今日はこんな時間に来たのかい、珍しいね」
店長のマリモが声をかける。
「今日は休みだから。久々にゆっくりしようと思ってね」
そう言うとカウンターの一席に座り、コーヒーを注文する。
バスは冒険者だが、活動する時間が他人とは違い夜更けから明け方なのだ。
その為、休みの時はここに来て、皆との会話を楽しんでいる。
「最近 景気はどうだい?」
「うちは常連さん相手の御気楽商売だから、周りとは違うさ」
マリモは、そう言うと、オリジナルブレンドのコーヒーを差し出す。
「今日は、アルザビ産の豆を多くしてみた」
バスは、香りを確かめるとおもむろに一口含んだ。
「うん、香りもいいし、苦味も程よくていいんじゃないかな」
そう言われて、マリモの大きな顔が笑顔になる。
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