強者の戦い

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………… 「さて、ああ言ったはいいものの……太陽の畑ってどこだよ、さっぱり道がわからないな」 和真が人里を出てから既に一時間、目的地にはまだ到底着きそうにない。 威勢良く人里から出発した和真だが、幻想郷の地理など全くわかっていなかったのだった。 本来なら、近いうちに妹紅と行くはずの幻想郷巡りの旅を経て幻想郷の地理を覚える予定だった。 しかしそんな余裕も無く起きた緊急事態に、和真は以前に空高くから見た景色をあてに歩くしかなかった。 『飛行魔法を使ってもいいけど、もし戦闘になったらスペルカードだけで凌ぐ自信は無い。ここは大人しく歩いて目的地を探すのが得策だと思うんだが、あまり時間もないからなぁ』 和真はそんなことを思いながら歩き続け、少し休憩をしては再び歩くことを繰り返していた。 しかし更に一時間が経った頃、突然和真の眼前に現れた黒い影。 和真は慌てて間合いを離すが、やがてその影は見慣れた人物だと気付いた。 「……魔理沙か、驚いて損した気分だな」 「なんだよ、その失礼な反応は。せっかく助けに現れてやったのに……慧音に言われて来てみれば、やっぱり道に迷ってたな。」 「……また慧音さんに心配かけちまった。」 和真はそう言って額に手を当てて盛大に溜め息をつき、魔理沙は箒の後部を指差す。 「ほら、乗れよ。私が来たからには間に合わせてやるからさ……行き先は太陽の畑だろ?」 「ありがとう、じゃあ頼む」 「了解、しっかり掴まれよ!」 和真が後ろに乗ったことを確認すると魔理沙は箒に魔力を込め、二人を乗せた箒は勢い良くその場から飛び去った。
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