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「ね?全然疚しいお金じゃないでしょ?」
頭から血を流しながら自信満々でのたまう矢川に俺は呆れながら怒鳴った。
「疚しくないが、立派に汚れてるだろが!!稼ぐならちゃんと肉体労働……」
「……ごめんっ!」
矢川の襟元をつかんで文句を言おうとした瞬間、横から走って来た子供が割り込むように俺にぶつかってきた。
あまりに唐突だったので避ける事すら出来なかった俺は、バランスを崩しベンチに尻餅を突くように倒れてしまう。
「……あいたたた……」
ぶつかってきた子供も、地面に尻餅をついて倒れたが、すぐに立ち上がるとぶつけたお尻を痛そうにさすった。
「……ねーちゃん!こんな真っ昼間から道の真ん中で彼氏とイチャついてんじゃねえよっ!!」
「な、何ぃ?!いちゃついてるだとぉ?!」
「か……彼氏?!僕が?」
何故かはにかむ矢川に張り扇を見舞いながら俺は子供に抗議の言葉を放った。
「イチャついてたんじゃねぇっ!喧嘩してたんだっ!!」
「……そーゆーのをイチャつくって言うんだって!邪魔して悪かったなっ!忙しいからオイラはこれでっ☆」
苦笑いしながらまくし立てるようにそういうと、男の子はあっと言う間に走り去った。
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