売られてゆく仔牛

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今日はお城で「勇者」の選定会が行われている。 このキシマだけではなく、他の国も同様の試験が存在する。 要するに、「勇者」というものにも検定試験があり、それが世界的にも認められているということだ。 俗に「勇者検定」という安っぽい名前で呼ばれているけど、内容自体のレベルは相当高いと言われている。 「やっぱり私も付いていくべきでした…」 私…印刷会社副社長こと秋葉サザメは朝からずっと落ち着かず、社長室ことボスのリラクゼーションルームを行ったり来たりしている。 「サティの事が心配?」 何故かこういった時だけは真面目に書類に目を通したりと、仕事を次々とこなしながらボスが素っ気なく言った。 …私としてはサティに旅立ってなんか欲しくはない。 でも、サティの気持ちを考えるとやっぱり試験には受かって欲しい訳で……。 とにかく、受かるにせよ、落ちるにせよ、早く結果が知りたかった。
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