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2日目の朝、私は朝日が出て直ぐに出発した
朝食は乾燥させた食物や、それらを粉末状にし、固めて団子のようにしたものを持ってきていたので、それらで軽く済ませ、早々に出発した
地図や方位磁針があるのはいいけど、腰ほどまである薮を掻き分けながら進んで行くと、どうしても方向感覚が麻痺してくる
町から近い部分とはいえ、夜になれば森の生き物たちが活発になる……早いところこの状態から抜け出したかったが、そうもいかないようだった
――視界の隅で一瞬何かが光った気がした
地図を広げると、この辺りに湖があるようだった
確か妖精伝説のあるところだったと思う……割と有名だし、もしかしたら誰かいるかもしれない
誰も居なかったとしても、とりあえず一度湖畔に出れば、位置の確認も楽になるだろう
障気の存在がある以上ら闇雲には歩き回れない訳だから、状況の確認は大切だし、とにかく一度行ってみることにした
光が見えた方角に進んで行くと、鬱蒼とした木々の波が途切れ、開けた所に出た
「…民家だ」
その視線の先には、湖ではなく三角屋根の木造の小屋があった
大きさは対したことないが、丸太を組み合わせて造られた、手作り感溢れるデザインで、可愛いらしい雰囲気だ
光の正体は窓ガラスに反射した日の光だろうか……
「…でもなんでこんな辺境に民家が…?」
そのとき、背後で何かが動く気配がした
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