売られてゆく仔牛

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ボスの急な思い付きから一日が経った 天気は晴れ、いつも通りの朝 そんな天気とは裏腹に、サザメは憂鬱になりながらも会社の扉を開いた このキシマ国の民家は木造平屋建てが一般だが、この会社は印刷業というのもあって、水が漏ったりしないよう他の建物よりはしっかりと作られている 壁には白っぽくて滑らかな木の板が隙間なく並べられていて、質素ではあるが清潔感を感じる しかし、今日はいつもと違ってその壁一面に貼り紙が貼られていた 貼り紙には「勇者募集中!社の命運を掛けて戦ってみないか?」と真っ赤な文字で印刷されている 一見すると建物や家具をを差し押さえされているようだ 「昨日はまだ掲示板に貼ってただけなのに…」 …正直、ここまでやるとは思ってなかった。一瞬、このまま帰宅しようかという選択肢が頭を過ぎったが、無理矢理振り払いながら先へ進んだ
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