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逸る気持ち抑えながら、老人はそのガレキの山にゆっくりと近づいていく。
「ホギャア! ホギャア!」
やはり先ほどから聞き続けた声がガレキから聞こえる。
声からして、赤ん坊のようだ。
「ここか!」
老人はそう言うとすぐに何かを呟き、それに合わせて光り出した宝石の付いた杖を掲げた。
すると、ガレキの山はふわりと丸ごと浮き上がり、別の場所に退かされて行く。
「……これは」
老人はまた思わず呟く。
だが、その呟きには驚きの他に、確かな安堵や喜びの感情が含まれている。
老人の視線の先にはまだ泣き続ける赤ん坊と、泣かずに眠り続ける赤ん坊が一人づつ小さなベッドの上にいた。
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