1・死神と少女

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「夜深さん遅いですねー」  空紅がいるのはとても小さな公園。滑り台と鉄棒とブランコと砂場がぎゅっと詰まったような広場だ。そこのベンチに座って夜深を待つこと小一時間。時間感覚があまりないために、近くの時計を確認し続ける。  時計が指す時間は浅の十時。ほどよい感じに日が照ってきた。  --明るいのは嫌いなんですけどね。だから、夜深さんに早く来て貰えないと、 「干からびてしまいます」 「干からびるのか?」  艶やかな黒の短髪と同色の澄んだ瞳(め)。そして、彼とは違う白いマントに虫網のような網を持っている。男とも女ともとれる中性的な男。そして、煙草が似合う無精髭を生やした男――それが夜深に対する印象だった。  急に現れたものだから驚いて死にそうになった空紅。それを夜深に告げると、 「君はもう死んでいるだろ」  とすかさず返ってくる。遅れておいて頭だけは切れる。何か腹立つな、と胸中で毒づいた。 「それで、夜深さん。俺を一時間待たせて何かないんですか」  言葉遣いなんてまるっきり無視する部下だ。自分でもよく思う。
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