プロローグ

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 「ねえお前ら、部活とかどーするワケ?」  春の暖かさが心地良い昼下がり、お弁当を食べ終わった友人が唐突に切り出した。  男口調なのが友人―――志村多佳子(しむら/たかこ)の話し方の特徴だ。 それに答えたのは少しとろけた表情をした少女。  「あたしは写真部にしよっかなぁ。だって二週間に1回しか活動日がないんだよー」  若いのに、まるでやる気の無い彼女の名前は佐倉彰(さくら/あきら)と言う。  だらしのない性格とは対照的なキリッとした名をした佐倉も、志村と同じく私が高校で作った友達である。  「……で、月森はどうすんのよ」  「弥生ちゃんってぇ~~運動部とかぁ似合いそうだよねぇ」  月森弥生(つきもり/やよい)。  古風な印象を与えるこの名前は、私のものだ。  「うーん」  「なんだよ。そんなに言いにくいことなのかよ」  「うん、まあ」  確かにそれは言いにくいことだった。  だって、私の入りたい部活って趣味悪いんだもの。  「きいても引かないでよ?」  「うん。約束する」  「あのね、オカ部」 志村と佐倉の顔が同時にしかめられた。
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